TOP > 大阪環状線
「大阪環状線」の呼称が指す区間は典拠や目的により、次のように使い分けられている。
- 『JR 線路名称公告』では、大阪環状線は大阪駅を起点・終点とする21.7kmの路線であり、今宮駅 - 天王寺駅間2.2kmは関西本線との重複区間となっている。
- 民営化時に当時の運輸省に提出された事業基本計画、国土交通省監修の『鉄道要覧』および、JR西日本が発行している「データで見るJR西日本」では、大阪環状線は天王寺駅 - 新今宮駅間20.7kmの路線で、新今宮駅 - 天王寺駅間1.0kmは関西本線であり、今宮駅 - 新今宮駅間1.2kmは関西本線との重複区間となっている。
- 運行管理や旅客案内での大阪環状線は、天王寺駅 - 大阪駅 - 天王寺駅となっている。
- JRが旅客営業規則第78条第1項第1号に規定する電車特定区間の「大阪環状線内」は、大阪環状線(大阪駅 - 天王寺駅 - 大阪駅)のほか、桜島線(JRゆめ咲線)全線と関西本線(大和路線)天王寺駅 - JR難波駅間が含まれる。この区間内を相互発着する場合は運賃計算などに関する特例が適用される。
以下、特記が無い限りは 1. に従って記述する。なお、当路線を単に「環状線」と呼称するケースも多く、本項でも一部でそのように表記している。
概要
大阪市の都心部外周部を環状運転している環状線であり、JR西日本のアーバンネットワークの中心路線として機能している。ラインカラーは赤()で、大阪のダイナミズムをイメージしている。
大阪環状線は、東海道本線と関西鉄道(後の関西本線)を連絡するために、既に建物が密集して線路を通す余裕がない中心部を避けて通された東側の城東線、北西の西成線の一部(元の西成鉄道の桜島線以外の区間)、南側の関西本線と貨物線の一部を、戦後の高度経済成長期に西側の臨海部に新線を作って接続したものである。成立時点で既に内側に適当な用地がなかったこともあり、環状線内を横断・縦断する地上路線は存在しない。大阪市営地下鉄は従来から地下を横断・縦断しており、地下鉄以外でもJR・私鉄ともに地下区間により横断・縦断路線を建設する計画が何度か立てられ、2009年までにJRではJR東西線、私鉄では阪神なんば線 - 近鉄難波線 - 近鉄大阪線の西九条駅 - 鶴橋駅間が実現している。
多くの駅で、各方面へのJR・私鉄各線、大阪市営地下鉄の各路線と連絡している。また環状運転を行う列車のほか、他路線への直通運転も多く行われている。ただし、大阪市の都心部は中之島・淀屋橋・本町など、南北を結ぶメインストリートである御堂筋沿線が中心となっているため、大阪市内の中心部輸送は御堂筋の地下を通る大阪市営地下鉄御堂筋線がその主力を担い、大阪環状線や他の市営地下鉄各線、市営バスがそれを補完する形になっている。
路線の大半は高架であるが、天王寺駅付近と大阪城公園駅付近だけは地平を走っている。故にこの2駅だけは地上駅となっている。ただし、天王寺駅は掘割式の地下駅に分類される場合もある。また内回り線の新今宮駅 - 天王寺駅間には大阪環状線唯一の踏切である一ツ家踏切がある。
JR線で唯一、全列車が掲載されている紙の時刻表が存在しない路線である(大阪環状線と直通する列車の時刻は全列車掲載されている)。関西圏JR線の各駅停車全列車を収録している唯一の時刻表である交通新聞社西日本支社刊『携帯全国時刻表』でも、大阪環状線は省略されている。ただし、八峰出版がかつて発行していた『KATT 関西圏JR線私鉄線時刻表』では環状線が特集で組まれ、快速も含む全列車の時刻が掲載されたことがある。
全線が旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「大阪近郊区間」、電車特定区間、およびIC乗車カード「ICOCA」の近畿圏エリアに含まれている。
路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):全長21.7km (実長21.736km)
- 西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
- * 大阪駅 - 天王寺駅 - 大阪駅間 21.7km
- 日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者):
- * 福島駅 - 西九条駅間 (2.6km)
- 軌間:1067mm
- 駅数:19(起終点駅含む)
- 複線区間:
- 3線:福島駅 - 西九条駅間
- 複線:大阪駅 - 福島駅間、西九条駅 - 新今宮駅間、天王寺駅 - 鶴橋駅 - 大阪駅間
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 運行管理システム:大阪環状・大和路線運行管理システム (SUNTRAS)
- 最高速度:100km/h
沿線概況
ここでは、沿線風景を大阪駅から内回り方向に記述する。
大阪駅は最も南側の1番のりばから発車する。大阪駅を出ると、東海道本線(JR神戸線・JR宝塚線)と並走するが阪神高速の梅田出入口の高架橋をくぐると右に別れていき、続いて阪神高速11号池田線をくぐると福島駅に着く。福島駅は東海道本線貨物支線が分岐しているが、貨物線は地平線を走り、福島駅を出ると右手から貨物線が地平線から高架橋へ上ってくる。阪神本線を越えると、阪神高速3号神戸線をくぐって野田駅、続いて西九条駅につく。西九条駅は島式2面5線であり、ホームがあるのは内側の3線のみである。桜島線(JRゆめ咲線)・梅田貨物線が分岐しており、大阪方面から桜島線に乗り入れているほか、梅田貨物線を経由して新大阪方面から特急列車も大阪環状線に直通している。
西九条駅を出ると、内・外回り線に挟まれる形で桜島線が地平に下って西進して別れていく。安治川を渡って大きく左にカーブすると、右手から阪神高速17号西大阪線・国道43号が迫ってくると、高層ビルが建ち並ぶ弁天町駅に着く。弁天町駅は大阪環状線の最も西部に位置しており、大阪市営地下鉄中央線との接続駅で、大阪ベイエリアの入口にあたる。高架下には交通科学博物館があり、内回りホームからはそこの保存車両の一部が見ることができる。駅前は中央大通と国道43号が交差して車の交通量も多く、大阪環状線と直角に阪神高速16号大阪港線が交差している。
弁天町駅を出て一度左にカーブして東に向くと、内回り・外回りの間に空き地があるが、これがかつての境川信号場で、大阪臨港線が分岐していた。現在は、外回り線が大阪臨港線を跨ぐ橋梁がそのまま残っている。境川信号場で右にカーブするが、正面から左手に京セラドーム大阪とガスタンクのモニュメントのある大阪ガスの本社が見えると、その最寄り駅である大正駅につく。大正駅は大正区の最北端に位置しており、区内方面には多数の大阪市営バスが運行されており、ラッシュ時には急行バスも運行されている。
大正駅の先で南海汐見橋線・阪神高速15号堺線と交差すると芦原橋駅、すぐに今宮駅に至る。今宮駅は関西本線(大和路線)を越えるために、内回り線のホームは3階となっているが、外回り線はその必要がないため2階にホームがあり、関西本線の下り線と同一ホームで乗り換えることができる。
続く新今宮駅は、南海本線・高野線、大阪市営地下鉄御堂筋線・堺筋線および、阪堺線との接続駅である。島式2面4線のうち、外側2線を大阪環状線の列車が、内側2線を関西本線および大阪環状線と直通運転する列車が使用している。新今宮駅を出ると、左手にフェスティバルゲート・スパワールド・通天閣、阪神高速14号松原線をくぐって天王寺動物園と主要ランドマークが立ち並び、天王寺駅に着く。この間、外回り線は高架橋で関西本線を越えることになり、この交点付近に大阪環状線唯一の踏切である一ツ家踏切がある。
天王寺駅は関西本線・阪和線が分岐しているほか、近鉄南大阪線、大阪市営地下鉄御堂筋線・谷町線、阪堺上町線との接続駅で、南大阪の玄関口となっており、近鉄大阪阿部野橋駅の乗降者数は同社の中でも最も多く、JR西日本管内の乗車人員でも3位である。また、駅前には高速バスターミナルが設けられ、関東・東北・九州方面の主要都市への高速バスが設定されており、駅周辺には天王寺MiOや近鉄百貨店などの商業施設が多く、天王寺はミナミ・キタなどに並ぶ大阪市の都市核の一つである。
天王寺駅を出ると左にカーブして、天王寺駅の北側にある阪和線をくぐって北上する。寺田町駅・桃谷駅と続いて、近鉄大阪線・奈良線、大阪市営地下鉄千日前線との接続駅である鶴橋駅に着く。ホームには近鉄との連絡改札口があり、かつては近鉄も乗降者数は1位であったこともあり乗り換え客も非常に多い。駅前は在日コリアンによってつくられたコリア・タウンが中核を担っている。周辺に焼肉店や韓国料理店が多く、駅周辺の賑わいは環境省のかおり風景100選にも選ばれている。
鶴橋駅から玉造駅・森ノ宮駅と続き、阪神高速13号東大阪線をくぐって、左手に大阪城・大阪城公園、右手に森ノ宮電車区が見えると大阪城公園駅、森ノ宮電車区の入出区線が右手から迫り、左手に多数のビル群が乱立する大阪ビジネスパークを過ぎると京橋駅につく。京橋駅は駅の南端で片町線(学研都市線)とJR東西線、北端で京阪本線と、さらにその先で大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線と直角に交差しており、JR・京阪および地下鉄を含めると1日50万人以上の乗降客があり、京阪グループなどが拠点を置いていることから商業施設が多数集まっており、飲食店街や歓楽街も発展していることから大阪の東の玄関口とも呼ばれ、キタ・ミナミに対してヒガシと呼ばれることもある。
京橋駅を出ると正面にはかつての淀川電車区・淀川駅に至る連絡線があった空き地が広がるが、大阪環状線は左にカーブする。桜ノ宮駅を過ぎ、旧淀川を渡って右にカーブすると日本一長い天神橋筋商店街のほぼ中央に位置する天満駅と続き、ビルの合間をかいくぐって行くと正面にHEP Fiveの赤い大きな観覧車や阪急百貨店、アクティ大阪などビル群が見え始め、右手から東海道本線(JR京都線)が合流してくると、大阪駅に着く。
一ツ家踏切
新今宮駅 - 天王寺駅間にある一ツ家踏切は、大阪環状線内回り線(外回り線の同区間は関西本線を乗り越すため高架線になっている)のほかに関西本線と阪和線からの直通列車(特急「はるか」、「くろしお」、関空・紀州路快速など)も通過するため、開かずの踏切となる時間帯があり、踏切が開くまでに待ち切れず、通行人が踏切内に進入して電車が緊急停車する事故が頻繁に発生し、人身事故につながるケースもある。新今宮駅寄りに存在するガード下(ジャンジャン横丁直結の道路)を通るルートもあるが、遠回りを嫌う人が多いのが現状である。
この踏切で人身事故が発生するとその影響が、関西本線・阪和線・東海道本線(JR京都線)に波及することから、JR西日本ではその対策として、踏切照明灯を青色にするなどの対策を取っている。鉄道会社で青色の照明灯をいち早く導入したのはJR西日本で、実際に人身事故・踏切事故の抑止に効果があることから、青色の踏切照明灯は他線区にも導入されたが、この取り組みは他社(京浜急行電鉄弘明寺駅など)にも広がっている。
ルーフアート
沿線では、民家の屋根上を作品展示の場所としたルーフアートを見ることができる。すべての作品は、車内や駅ホームから見えるところにあり、現在は7箇所で展示している。
堺市の芸術家である余田卓也が1994年から設置し始めたもので、現在は「家庭のパスワード」の作品が設置されている。作品は、その家の住人が選んだ4桁の数字がシンボルカラーと共にそれぞれに数字と異なる色が掲げられている。
ファイル:JRW shinima-tennoji.jpg|新今宮駅 - 天王寺駅間
ファイル:一ツ家踏切 (大阪府).jpg|一ツ家踏切。手前から内回り、関西本線上り、下り。高架線は外回り。
ファイル:Roofart Osaka Loop.jpg|ルーフアート(桜ノ宮駅付近にて。左側の数字の書かれた横断幕がそれ)
運行形態
| 種別\駅名 | 天王寺 | 今宮 | … | 西九条 | … | 大阪 | … | 京橋 | … | 天王寺 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 運行本数 | 普通 | 6本 | |||||||||||||
| 桜島線直通普通 | 3本 | ||||||||||||||
| 関空・紀州路快速 | 3本 | ||||||||||||||
| 大和路快速 | 3本 | ||||||||||||||
| (関西本線)快速 | 3本 | ||||||||||||||
| (関西本線)普通 | 6本 | ||||||||||||||